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事件篇
激しい吹雪により外の世界と隔絶された山荘の中、名探偵木戸彦太郎の助手である田中少年は嬉しそうに窓の外を眺めておりました。
「先生、外は真っ白ですね。これはもう絶対起こりますよ、連続殺人事件」
「随分愉快そうだね、田中君」
「それはもう、事件となれば僕達の出番ですから。
気になるのは特に見立て殺人に使えそうなエピソードが食事中の会話で聞けなかったことですが―まさか水鳥川氏の独りよがりな宴会芸が見立てに使われることはないでしょう―こんな絶好のシチュエーションを逃す犯人はいないはずです。
そろそろどこからか悲鳴が聞こえてきてもおかしくない頃ですが……」
そういって田中少年が耳を澄ますと、何やら奇妙な音が窓の外の方から聞こえてまいりました。
吹雪の音に紛れて聞こえてきたゴオオオ……というような音はどんどん大きくなり、やがて大きな物体が探偵達の部屋に向かって突っ込んできそうになったのです。
窓際にいた田中少年のピンチに、すかさず我等が名探偵木戸彦太郎は田中少年を抱え、部屋の外へと避難したのでした。
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