男女の友情は成立するか否か

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「最近、何かいいことあったの? リリアナ」  調合のための薬草を準備していたら、うしろから声をかけられて、リリアナは振り返った。  そこにいたのは同僚のルーナだった。図書館に行っていたのか、魔導書を抱えている。 「え、何で?」  突然の質問に首をかしげると、ルーナはくすりと笑った。 「よく鼻歌が聞こえてくるから。リリアナ、ご機嫌になると鼻歌歌うよね」  全く自覚していなかったけれど、今も鼻歌が聞こえていたらしい。リリアナは思わず頬を押さえた。 「マジで。気づいてなかった。無意識って怖い」 「で、何があったの? おねーさんに教えてごらんなさい」  楽しそうな表情で顔をのぞきこまれて、リリアナは笑って首を振った。ツインテールにしている髪が、その動きに合わせて揺れる。  最近思い当たる『いいこと』といえば、ひとつしかない。
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