改善を試みるたびに狂ってしまう私の運命

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首を捻る宗介に、あらかじめ警察に相談していて、ここに来る時に一報を入れたことを告げると彼は優しく微笑んだ。 「これで、君の夢が叶うんだ。もう誰にも邪魔されないね」 その言葉に、私は涙がこぼれ落ちた。警察が執事たちを連行する中、私は宗介と共に外へと歩み出した。夜空を見上げると、星が輝いている。これで、本当に全てが終わったのだ。 そして、迎えたコンクールの日。私の演奏が終わり、結果発表が待ち遠しい。今度こそ、正々堂々と勝負ができた。審査員たちの顔に、先日の執事の影は見られない。宗介と共に成し遂げたことが、私に自信を与えてくれていた。 結果発表の瞬間、私の名前が一位として呼ばれた。歓声と拍手の中、私は宗介の顔を探した。彼は人混みの中で私に向かって微笑んでいた。 涙が溢れ出すのを止められなかった。この瞬間が、私にとってどれほど長い道のりだったかを思い出して。 ステージを降りると、宗介が駆け寄ってきた。彼は私を抱きしめ、耳元で囁いた。 「これで、本当に終わったな。君の夢が叶ってよかった。タイムリープを始めてからというもの、ずっと君のことが好きだった」
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