改善を試みるたびに狂ってしまう私の運命

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しかし、その一方で、宗介の姿をあまり見ることがなくなった。彼は、私の成功を喜びながらも、少しずつ距離を置くようになっていた。 ある日、私が次のリサイタルのために練習していると、宗介から一通の手紙が届いた。手紙の内容はシンプルだったが、心に刺さる言葉が書かれていた。 「らら、 君が世界中で輝いている姿を見て、僕は本当に嬉しい。君の夢が叶った瞬間に立ち会えたこと、そしてその一部になれたことを、心から誇りに思っている。 けれど、僕は今、このままでいいのかを自問自答している。君のそばにいることが幸せであり、君の幸せが僕の幸せだと信じてきたけれど、君が新たな世界へ羽ばたく姿を見て、僕もまた自分の道を見つけなければならないと感じている。 だから、しばらくの間、僕は君の前から姿を消すことにする。お互いに新しい一歩を踏み出すために。 宗介」 手紙を読み終えたとき、私は驚きと悲しみで心がいっぱいになった。宗介が何度も過去に戻り、私のために尽力してくれたことを思い出し、彼が私の夢のためにどれだけの犠牲を払ったのか、改めて痛感した。
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