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彼がそばにいないことに気づいたとき、その存在がどれだけ大切だったか、今更気づいた。彼のいない日々が、こんなにも寂しいものだとは思いもしなかった。
数週間後、私は宗介を探すために手紙に記されていた場所を訪れた。彼が「自分の道を見つける」と言ったその言葉が、私の胸にずっと引っかかっていたのだ。
その場所は、私たちが最初に出会った公園だった。静かな場所で、木々のざわめきが心を落ち着かせる。私は彼がこの場所にいることを信じ、歩みを進めた。
すると、ベンチに座っている宗介の姿が見えた。彼は私の足音に気づき、ゆっくりと顔を上げた。その目には、いつもの優しさと少しの戸惑いが見えた。
「らら……どうしてここに?」
彼の声には驚きが混じっていたが、私は微笑んで彼の隣に座った。
「宗介、私、あなたがいないとダメなの。あなたがそばにいてくれるから、私はここまで来られたの。だから、もう離れないでほしい」
彼はしばらく私の言葉を聞いていたが、やがて大きなため息をついた。
「らら、君の言葉は嬉しいけど、僕がいなくても君はきっと大丈夫だよ。君の夢はもう叶ったんだから」
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