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「あと一回……あと一回だけ、やりたい。ダメだろうか?」
彼の言葉が私の耳に届いた瞬間、思わず驚いた顔をしてしまった。でも、それもほんの一瞬。すぐにその驚きは消えて、優しさと少しの諦めが混じった笑みが浮かぶ。
「あと一回だけ……?」
私はゆっくりと彼の言葉を繰り返した。確認するように。彼の心がどれほど揺れているのか、私にはよくわかる。彼の瞳が、私に答える代わりに何かを訴えているようだった。
宗介は無言でうなずく。私には彼の心臓が高鳴っているのが、手に取るように分かる。それがどれほど切実な願いであるかも。たった一度でいい、もう一度だけ、やり直したいと彼は望んでいるのだ。
「でも、それで最後にしないとね」
私は少し寂しげに微笑んだ。この微笑みが彼に届くかどうかはわからない。でも、言わなければならなかった。
「もう何度も繰り返してきたでしょ?」
その言葉が彼の胸を締め付けたのが見て取れる。彼は何度も願いを叶えようとタイムリープを試みてきた。
だけど、彼はどうしても諦めなかった。最後の一回だと自分に言い聞かせても、そのたびに「もう一度」と願ってしまう彼の姿を何度も見てきた。
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