改善を試みるたびに狂ってしまう私の運命

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「わかってる。でも……」 彼の言葉が途中で途切れるのを感じた。私はそっと、おかしな方向に曲がった自分の指を伸ばして、彼の頬に触れる。彼は言葉を失った。 私は、ピアニストだった。国際ピアノコンクールで優勝して明るい未来があると信じていた。 でも、優勝したのは如月彩。彼、北条宗介の元カノだ。審査員たちを買収して優勝を手に入れた。彼はそんな彼女に捨てられたのだ。 彼は頑張っている。買収を妨害して、私を優勝させて、彩と、よりを戻そうというのだろう。 彼はタイムリープという信じられない能力を持っていた。しかし、運命を変えようとするたびに私の人生はどんどん狂っていった。 最初は、優勝を逃しただけだった。しかし、前回のタイムリープの時に、指を折られピアニスト生命を絶たれた。 「最後の一回ね」 私は静かに言った。「これでおしまい。約束して」 その言葉を聞いた時、宗介がついに覚悟を決めたのを感じた。深く息を吸い込んでから、彼は私の手をそっと握り返してくれた。 「約束するよ。これで本当に最後だ」
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