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そんな私の思考を打ち破るように、電話が鳴った。
ディスプレイには見慣れない番号が表示されている。嫌な予感がしたが、恐る恐る受話器を取った。
「上杉ららさん、今すぐに来てください。宗介さんが危険な状況にいますよ」
電話の向こうから聞こえたのは、低い男の声。彼の言葉に冷や汗が流れる。宗介が危険な目に遭っているという言葉が頭の中で繰り返され、動揺を抑えることができなかった。
「どこに行けばいいの?」
声が震えているのが自分でもわかる。
「如月家の別邸です。急いでください」
電話が切れた後も、私はしばらく動けなかった。どうしてこんなことになってしまったのか。でも、宗介を助けなければという思いが、私の足を動かした。
タクシーを降り、今まで何度もやってきた如月家の別邸の門の前に立った時、私はすでに心の中で覚悟を決めていた。この場所で、全てが終わるかもしれない。しかし、宗介を救うためには、進むしかない。
扉を叩くと、すぐに中から男が現れ、私を中へと案内した。廊下を歩く間、心臓の鼓動が耳の奥で響く。薄暗い廊下の先に、宗介がいるのだと自分に言い聞かせながら、足を進めた。
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