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やがて、大きな扉の前で立ち止まった男が扉を開けると、その先に広がる部屋の中に宗介が座らされているのが見えた。彼は両手を後ろに縛られ、表情には痛みが浮かんでいた。
「宗介!」
駆け寄ろうとした瞬間、私の腕が強く引かれた。振り返ると、そこには二人の男が立っていた。彼らの冷たい視線が私を捕らえ、逃げることを許さない。前回、私の指を折った用心棒とは違う顔。
「らら、来てしまったか……」
宗介が苦しそうに声を絞り出す。私はどうすることもできず、ただ彼を見つめるしかなかった。
「宗介、何が起こっているの?」
私は恐る恐る尋ねた。
その時、部屋の奥から執事が現れた。冷たく笑う彼の姿に、私は背筋に冷たいものが走るのを感じた。
「宗介さんが連れてきた助っ人が、実は我々の仲間だったとは、皮肉なものですね」
執事の言葉に、私は愕然とした。宗介は誰かを頼ったのだろう。前回のタイムリープの時に、ここに用心棒がいて、私は指を折られた。だから、助っ人を手配したというのに、その助っ人が、実は如月家に操られていたというのか。
「らら、飲み屋で知り合った奴らと潜入したのに……裏切られたんだ」
宗介の言葉に、私は愕然と立ち尽くすしかなかった。振り向くと二人の男がいやらしい笑みを浮かべていた。この人たちが……。
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