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執事が静かに言った。
「宗介さんは、彩お嬢様のボーイフレンドだとお聞きしていましたのに、あなたのためにお嬢様の不正を正すと飲み屋で説明したそうです。どういうことでしょうかね」
その言葉に、私は動揺した。私のため? どうして?
執事はそのまま続けた。
「審査員を買収するために、あなたたちをここに監禁します。あなたがここに来た時点で、私たちの計画は成功したも同じです」
その言葉に、絶望が私を襲った。宗介が必死に守ろうとしてくれたものが、今まさに崩れようとしているのだ。
その時、不意に扉が開き、何人もの警察官がなだれ込んできた。
「警察だ! 全員動くな!」
警察官の一人が鋭い声で叫んだ。
執事とその手下たちは、あっけに取られていたが、すぐに抵抗を試みようとした。しかし、警察の迅速な行動によって、彼らは瞬く間に制圧された。
「上杉ららさん、大丈夫ですか?」
私の元に駆け寄ってきた警察官を見て、私は、すべてが終わったのだと実感し、その場にへたり込んだ。緊張と恐怖で体が震えていたが、警察官に拘束を解かれた宗介の温かい手が私の肩を支えてくれた。
「らら、君が警察に連絡を?」
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