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1話~小鳥遊さん~
僕、前ノ原啓(まえのはら ひろ)が通う学校には……というか全国の学校にスクールカーストというものが存在する。
そこで、クラスの陰キャなどは最下位。特に僕なんて、超が付く陰キャなのにそこそこの立場にいる。
そこでみんながしている話は、どの女子がかわいいとか、どの女子は絶対にないとか、そういう話ばっかりでうんざりだ。
……だって僕は、そういうことに興味がないし……ずっと昔から、恋愛はしないって決めたから。
だけど、この恋愛話にはあと、2年半付き合わないといけない。
だって、無視をしたら、クラスでいじめられるし、ボッチになる。
そして、この学校では、高校1年生の時にクラスが決まったら、クラス替えは3年間無いから、今嫌われたらあと2年半いじめられるのは無理。
「ひ~ろっ、聞いてるかっ?俺らの好きなタイプっ!」
「……ごめん、少しぼーっとしてた。」
「昼食べながら寝てたのか?啓、次は聞いててよ??」
「わかった」
「俺のタイプはね~うちのクラスの小鳥遊さん。」
小鳥遊さん……?あぁ僕らの1‐Bクラスにいる、校内中で有名な、小鳥遊有留(たかなし うる)さんかぁ……
僕的にはあの人つかみどころがなくて苦手だな……
「へぇ……」
「で、啓の好みの女の子ってどんな子?」
「……ん?僕……?え、どうだろう」
「もったいぶんないで教えろよ~」
……僕は恋愛に興味はないけど……しいて言うなら
「しっかり僕のこと見てくれる人」
「おっ啓は一途な人が好きなんだな??」
「ん……そうかな」
そうして放課後、噂の小鳥遊さんと話すことになった。
「……前ノ原くんだよね……?」
「そうだけど……」
と振り向くと、小鳥遊さんがいた。
「っ小鳥遊さん?」
「そうだよ。前ノ原くん。私、前ノ原くんと少し、話がしたいの」
「……なんで、小鳥遊さんが僕なんかと?」
僕は少し、アレな、ただの屑な人間だよっ!?
「そう。君だから、私は話がしたい。不幸なことと、やばい人に巻き込まれがちな、前ノ原くんだから話したいの」
えっ……なんで……?
「……」
「話をしてくれなきゃ、首を掻っ切って、目の玉くりぬこうか?」
怖い怖い、えっ……?小鳥遊さんって、サイコパスなの……?僕が思ったつかみどころがないって……
「イエスかノーどっち?」
「……い……イエス……」
「そう。じゃあ明日、近くのカフェにでも来てもらいましょうか。というわけでまた明日。前ノ原くん」
というか、なんで小鳥遊さんが、僕の秘密を知っているんだ……?あと、あのサイコパスな表情も普段の表情も、僕には素顔に見えない。なんでだろう、その理由が知りたくて、小鳥遊さんの本性が知りたくなってきた。
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