1話~小鳥遊さん~

1/1
前へ
/3ページ
次へ

1話~小鳥遊さん~

僕、前ノ原啓(まえのはら ひろ)が通う学校には……というか全国の学校にスクールカーストというものが存在する。 そこで、クラスの陰キャなどは最下位。特に僕なんて、超が付く陰キャなのにそこそこの立場にいる。 そこでみんながしている話は、どの女子がかわいいとか、どの女子は絶対にないとか、そういう話ばっかりでうんざりだ。 ……だって僕は、そういうことに興味がないし……ずっと昔から、恋愛はしないって決めたから。 だけど、この恋愛話にはあと、2年半付き合わないといけない。 だって、無視をしたら、クラスでいじめられるし、ボッチになる。 そして、この学校では、高校1年生の時にクラスが決まったら、クラス替えは3年間無いから、今嫌われたらあと2年半いじめられるのは無理。 「ひ~ろっ、聞いてるかっ?俺らの好きなタイプっ!」 「……ごめん、少しぼーっとしてた。」 「昼食べながら寝てたのか?啓、次は聞いててよ??」 「わかった」 「俺のタイプはね~うちのクラスの小鳥遊さん。」 小鳥遊さん……?あぁ僕らの1‐Bクラスにいる、校内中で有名な、小鳥遊有留(たかなし うる)さんかぁ…… 僕的にはあの人つかみどころがなくて苦手だな…… 「へぇ……」 「で、啓の好みの女の子ってどんな子?」 「……ん?僕……?え、どうだろう」 「もったいぶんないで教えろよ~」 ……僕は恋愛に興味はないけど……しいて言うなら 「しっかり僕のこと見てくれる人」 「おっ啓は一途な人が好きなんだな??」 「ん……そうかな」 そうして放課後、噂の小鳥遊さんと話すことになった。 「……前ノ原くんだよね……?」 「そうだけど……」 と振り向くと、小鳥遊さんがいた。 「っ小鳥遊さん?」 「そうだよ。前ノ原くん。私、前ノ原くんと少し、話がしたいの」 「……なんで、小鳥遊さんが僕なんかと?」 僕は少し、アレな、ただの屑な人間だよっ!? 「そう。君だから、私は話がしたい。不幸なことと、やばい人に巻き込まれがちな、前ノ原くんだから話したいの」 えっ……なんで……? 「……」 「話をしてくれなきゃ、首を掻っ切って、目の玉くりぬこうか?」 怖い怖い、えっ……?小鳥遊さんって、サイコパスなの……?僕が思ったつかみどころがないって…… 「イエスかノーどっち?」 「……い……イエス……」 「そう。じゃあ明日、近くのカフェにでも来てもらいましょうか。というわけでまた明日。前ノ原くん」 というか、なんで小鳥遊さんが、僕の秘密を知っているんだ……?あと、あのサイコパスな表情も普段の表情も、僕には素顔に見えない。なんでだろう、その理由が知りたくて、小鳥遊さんの本性が知りたくなってきた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加