山小屋にて

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「僕の勝ちだね」 「ううむ、なんとも悔しい......このような若造に!」 男の頭の左右から白いツノが生え始め、口元も牙を向いた。 「努力が実った。鬼はサイコロを振るのだと、 民俗学を勉強するうちに伝記で知った。 そこから動体視力を磨く訓練をしたんだ」 「そこまで俺を知り尽くしていたとは......!」 「約束として、願い事を叶えて欲しい」 「しょうがない、決まり事だ、言ってみろ」 「僕の祖父を成仏させてください」 「なに?」 「死んだことに気づかないまま、夏になると僕と家族の帰省を待つんです」
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