山小屋にて

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この三角の小屋よりも広い祖父の家は、この小屋よりも朽ちている。 僕が幼少時に山で滝から転落して死んでしまったのだ。 だけど夏休みになると、自宅に祖父から電話がかかってくる。 「いつくるんだい?ご馳走を作って待ってるよ」 それが何年も続く。 霊媒師に視てもらったところ、僕が霊感が強いのが関係していた。 そして滝から落ちて即死だったので、自身の死を自覚していない。 この二つから電話はくるのだそうだ。 思いの力が強すぎて除霊は無理だと言われた。 僕はどうにかしたくて、大学から民俗学を勉強し始めた。 そして、村に伝わる鬼の伝記を読み、勝負はサイコロだと判明できた。 具体的に勝負に勝つ為に、動体視力の特訓をした。 サイコロの目を自分で読むのだ。 その長年の努力は、報われた。
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