山小屋にて

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「わしは、わしは......博也、博也なのか?こんなに大きくなって」 「おじいちゃん、お別れだよ」 「そうか、わしは、わしは、そうだったな、足を滑らせて」 「ほら、あの道を渡れ、あの世に行ける」 三角の小屋から、星の絨毯を敷き詰めたような光の粒の道が できていた。 「博也、ありがとう、鬼さん、ありがとう」 祖父はゆっくりと星の道を歩き、天へと登っていった。 「欲の無い男だ。願い事を叶えられるというのに、 富も名声も望まず、祖父の成仏を選ぶとは......」 「富や名声よりも大切な命だったんだよ」 「ふむ、なかなかにできた若造だ。褒美をくれてやろう」 男が片腕を高く上げてから勢いよく降ろした。 「え?うわ、なに?わあっ!」 満点の空に無数の流れ星が出現した。
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