山小屋にて

1/8
前へ
/8ページ
次へ
夏休みに父方の祖父の家に遊びにいった。 山奥の小さな村だ。 僕の目的は天体観測と、あともうひとつ。 都会では星が少ないので、あふれてこぼれそうな星々に感動するから 大好きな帰省だった。 僕は天体望遠鏡やキャンプに必要な物をリュックに詰めて登山の 準備を始めた。 「博也(ひろや)三角の小屋には泊まってはいけないよ」 祖父が言ってきた。 「三角?」 「そうだ、二枚の板を付けた三角上の小屋だ」 「そこに泊まると、どうなるの?」 「鬼がきて勝負を挑んでくる。負ければ命を取られる」 「勝ったら?」 「願い事を聞いてくれる」 「それなら勝負したいな」 「それこそ、恐ろしいほど強いんだ、やめたほうがいい」 「うん、行ってきます」 僕はリュックを背負い、山へと向かった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加