自己解決(仮)

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自己解決(仮)

 自室にひきこもっていたつもりが、実は一階に多くのものを依存していたと知った。  部屋にひきこもってたんじゃなく、家にひきこもっていたんじゃん。  あと一回 一階に行けば死ぬ?  一階に行かなきゃ私は色んな意味で死ぬ。  やばい、おなか痛い⋯⋯。  でも一階に行けば死ぬし、部屋の中でもらしても羞恥心で死ぬ。  そこでピンときた。 「窓から⋯⋯外に出れば⋯⋯」  クローゼットの奥には学校の上履きがある。服はジャージで構わない。お金は少ないけど持っている。  近所のコンビニでトイレを借りて、一階を経由せずにまた部屋に戻れば⋯⋯。   よし、これで行こう。  支度を整え、痛むおなかを我慢しながら気をつけて窓から下りていく。  久しぶりの外だ。天気が良くて、暑さが絡みつく。  でも、そんなことよりトイレに行かないと、ここでもらしたら人生が終わる。  早足で近くのコンビニへ。  体力ないからすぐバテた。  トイレの中では、どうしようどうしようの自問自答。  外へ出たからには食料と飲み物も買うとして、携帯トイレは売ってるんだろうか。それは大きい方も対応してるのか。使ったことがないから分からない。  部屋に戻れば、また一階への誘惑がすごいだろう。じゃあこのまま明日まで外で過ごす? いやいや、それはひきこもり歴2年の私にはハードルが高すぎる。  部屋に戻る前に、考えられるだけ考えて物を買い込んでいこう。お金が足りればいいな。  2年ぶりに対面で買い物をした。  いつもは文字で見る「ありがとうございました」も、直接言われるとちょっと気持ち良かった。  重たい荷物。自力で持ち帰るつらさはあるけど、買った実感がしっかりと手にある。それをバテながら持ち帰り、どうやって二階まで運び入れるかを考えていく。  人に頼むにもお金がかかるだろうな。  一階を経由できれば楽なのだが、死神の言葉が頭から離れない。  やっぱり壁を上って二階まで運び入れるしかないか⋯⋯。
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