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吹雪の中で
「…………ふぅ」
それから、数日経て。
開放感溢れる雄大な景色を眺めながら、鬱々と溜め息を洩らす私。原因は……まあ、数日前のあれでして。
……仲、良さそうでしたね。いやまあ、実際に良いのでしょうけど。先輩、と仰っていたことを鑑みるに学生時代、あるいは以前の職場の――
まあ、それはともあれ……随分と、綺麗な人でした。まだ子どもの私とは違う、随分と綺麗な大人の女性。お付き合いはしていない、ただ自分が憧れているだけ――それが、後から聞いた伊織さんの言い分ですが……それも、今後はどうなるやら――
……いえ、私だって負けてはいないはず。自分で言うのもなんですが……それでも、学校での評価を鑑みても容姿は優れているはず。……まあ、流石にここはまだ負けているかもしれませんが……ですが、私だって決して小さいわけではないですし、まだまだ成長途中のはず。それに、大事なのはサイズよりも柔らか……うん、何を言ってるんでしょうね私は。
ただ、それはともあれ……やはり、彼にとって私はまだまだ子ども――せいぜい、放っておけない妹くらいの存在でしかないのでしょうか。あの綺麗な女性に見せていたような……初めて目にしたあのような表情は、私には見せてくれな――
「…………え?」
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