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「…………ここ、は……」
そう、ポツリと呟く。……えっと、ここは……ああ、そうか。落ちたんですね、私。あの時、足を滑らせて、それで……
……まあ、命があっただけ幸いと言うべきでしょう。それは恐らく、落ちた場所がそれほど高くなかったこと――そして、重なった雪がクッションになってくれたことが理由でしょう。
ですが……うん、動ける気がしない。どうやら、足を強打したようで。……これだと、幸いだったのかも分かりませんね。
「…………あ」
すると、ふと雪が舞い降り私の頬を濡らします。そして、次第に雪は強くなり徐々に視界が……意識が霞んでいき――
……あの日も、こんな感じでしたね。この吹き荒れる雪の中、もう一歩も……いえ、指一つ動かない中、それで……それで――
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