救世主

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救世主

「…………あれ」  目を覚ますと、背中にあの冷たい感触はなく。代わりに、正面に感じる暖かな感触。……えっと、私はいったい―― 「――やあ、目を覚ましたみたいだね冬雪(ふゆ)ちゃん」  すると、すぐ近く――本当にすぐ近くから、そっと鼓膜を揺らす柔らかな声。そして、私が身体を預けているのは、その声音(こえ)と対照を成すような逞しい背中。……まあ、流石に分かりましたけどね。 「……伊織(いおり)、さん……」
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