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「……どうして、ここに……」
ともあれ、朧な意識のまま尋ねてみます。先ほどよりは収まったものの、未だ雪は頻りに吹き荒れていて。すると、少し間があった後――
「……そうだね。偶然あの辺りを散策していたら、偶然にも君が倒れていてね。まあ、このまま放っておくのも忍びな――イタタッ」
そう、いつもながらふざけた調子で話す伊織さんの頬をぎゅっとつねる。……いや、助けて頂いている身で不当な行為だとは我ながら思いますが……それでも、こんな時までそんな意地悪を言わなくて良いと思うのです。私のことを助けに来た――そう、素直に仰ってくれて良いと思うのです。……そう、あの日のように。七年前、この山で倒れていた私を助けてくれた、あの日のよ――
「……それにしても、思い出すなぁ。七年前の、あの日のことを」
「…………へっ?」
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