救世主

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 そう、何処か沁み沁みとした口調で呟く伊織(いおり)さん。一方、私は………ただ、呆気に取られていて。いや、だって―― 「……あの、伊織さん。その、覚えて……」  震える声で、ポツリと呟く。だって、これまでずっとそんなこと……だから、私だけが―― 「……うん、覚えてるよ。と言うか、忘れられるはずがないんだ」 「……へっ?」  すると、更に思い掛けないことを口にする伊織さん。えっと、それはいったい―― 「……だってさ……僕はあの日、紛れもなく君に救われたんだから」
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