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どういう風の吹き回し?
――それから、二週間ほど経たある日のこと。
「……あの、伊織さん」
「……ん? どうしたんだい冬雪ちゃん」
呆然と口にした私の問いに、事も無げに尋ね返す伊織さん。そんな私達がいるのは、和の趣漂う素朴な庵の洗面所――その鏡の前に立つ伊織さんに、扉の辺りで私が話し掛けるという構図です。
ですが、そんなことはどうでも良いのです。今、重要なのはただ一点で――
「……あの、伊織さん。どうして、お髭を剃っていらっしゃるのでしょう?」
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