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「……えっと、君がそれを言うのかい? 冬雪ちゃん。確かつい先日、冬雪ちゃんから提案されたものだと記憶してるんだけど」
「……いや、まあそれはそうなのですが」
私の問いに対する至極真っ当な返答に、言葉が詰まる私です。……いや、それはそうですけど。これが、私の言葉を受けての行動であれば何も文句はない――と言うか、非常に喜ばしい限りなのです。
ですが……うん、なにか違う気が。こう、上手く言えないのですが……そう、虫の知らせとでもいうのでしょうか。こう、そこはかとなく嫌の予感が――
――チリンチリンチリンチリン。
「……おっと、思ったより早かったね。でも、なんとか終えられたかな」
すると、突然の鈴の音――来客を知らせる鈴の音にそう呟きつつ洗面所を後にする伊織さん。……ところで、違和感は髭を剃るという常ならぬ行動に留まらず……心做しか、服装もいつもより小綺麗だった気が――
「――すみません、お待たせしました愛美先輩」
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