伊織さんと私

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伊織さんと私

「――もう、伊織(いおり)さん! いつも言ってるじゃないですか。洗濯物は、一箇所に纏めておいてくださいって!」 「……いや、冬雪(ふゆ)ちゃん。僕の方も、いつも言ってると思うけど――別に、君がそんなことしてくれなくて良いんだよ? 言わずもがな、君は僕の家政婦さんでも何でもないんだから」 「……まあ、それはそうなのですが」  綺麗な茜色が広がる、ある薄明の頃。  私の叫びに、書物片手に小さなお庭のハンモックにゆらゆら揺られながら何とも締まりのない声で応じる無精髭の男性。……まあ、そう言われてしまえば返す言葉もないのですが……ですが、そんなのは知ったことじゃないんです!  
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