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「えっと、長州藩士を中心とした大きな会議が開かれるそうです。人数は二十人程、場所は池田屋と四国屋です」
古高俊太郎の情報とも合っている。どちらだと言うのだ!? 空振れば、その間に御所に火を点けられるやもしれん! 考えている暇はない! 近藤勇は隊を二つに分けることにした。
「近藤隊、十一名は木屋町池田屋へと向かう! 土方隊、二十四名は祇園四国屋へと向かう!」
近藤隊・土方隊はそれぞれ目的地へと向かい疾走る。その時の京の都は、祇園祭の時期。
道中には山鉾が置かれている。京都民は皆祇園祭を楽しみにしている無辜の民、彼らを巻き込んで火に焼こうと平気たる過激派勤王志士は許すまじ!
みぶろみぶろと侮辱こそしてくる京都民ではあるが、憎しみは覚えない。
両隊、祇園祭間近の京の都の町並みを見て改めて長州藩の計画を止める決意を固めるのであった。
近藤隊に所属する犬千代が急に足を止め、クンクンと鼻をひくつかせた。沖田がそれに気がつく。
「どうしました? 犬兄さん?」
「長州藩の奴らのニオイが強くなってきた。他の藩の浪士のニオイも嗅ぎ覚えがある」
それを聞いた近藤は「アタリ」を引いたようだと、口角を上げてニヤリと笑顔を浮かべた。
今から誰かを四国屋に走らせ土方隊を呼ぶか? いや、歳ならハズレと分かったら疾風迅雷疾風の如く駆けつけてくれる筈だ、今は伝令を出すことすら惜しい。
そして、池田屋へと辿り着いた新選組は斬り込みをかけ獅子奮迅阿修羅の如き勇猛果敢たる戦いを見せ過激派勤王志士の計画を食い止めたのである。
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