初日の夜

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コイツ、絶てー楽しんでやがるな。 まあ、いざイライザが迫って来たとしても、俺が拒めば良いだけの話だ。 俺はディランに。 「あんたこそ、彼女に迫られねーように気を付けろよ」 と言うと、とっとと部屋の中に入った。 荷解きが終わった部屋は、それなりに物は在ったが、必要最低限のものしか置いてねー。 俺は日本から持ってきた自作のレシピを見ようかとも思ったが、店主をあれ以上、怒らせねー方が良いなと思って、早々にベッドに横になった。 『このパウンドケーキ、私、好きだわ』 俺は日本で自分のスタイルを見つけ、カラフルな中にも和のテイストを込めたケーキを香澄達に食わせている。 親父を納得させたケーキでも有るからな。 俺の1番の自信作だった。 『一見、ただのパウンドケーキに見えますが、こし餡が意外と合いますね』 『美味しい!凄く美味しい!』 『山村、口の中のケーキ、飲み込んでから話せ』 『良いじゃないですか。楽しく食べるのが一番ですよ』 鈴木は、相変わらず山村には、あめーぜ。 鳥の囀りが聞こえた気がして目を開けると、昨日から自室になっている、まだ見慣れない天井が目に入った。 どうやら夢を見てたらしい。 枕元の時計を見てみると、明け方の5時になっている。 今日から修行と語学学校だ。
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