アナスタシアの成功

1/2
前へ
/55ページ
次へ

アナスタシアの成功

あー、流石に昨日は疲れたな。 そう思いながら、翌日、イライザと朝の掃除をしてると、マールさんから思わぬ声が掛けられた。 「センヤ、ちょっと来なさい」 日本語で話し掛けられる。 イライザが。 『鬼店主、私のセンヤに何の用よ』 と、何やら小声で言いながら掃き掃除をしてるのを、マールさんはチラリと一瞥して、俺を連れて厨房に入った。 「ディランから聞いたが、昨日、ケーキを作ったらしいな。ひと口、味見させてもらった」 マールさん、味見してくれたのか。 俺はマールさんから、どんなダメ出しを喰らうのか? それとも親父のように放置か? 思わず内心、身構えた。 と、いっても何を言われても殴る訳じゃねーが。 「お前のケーキは、まだまだだが、伸び代がある。そこで、今日から私が見せるレシピを元に、ケーキを作ってみろ」 マールさんの思わぬ言葉に驚いたが、早速ケーキを作らせてもらえる事は嬉しかった。 「ただし!売り場には、まだ出せん。店頭には引き続き私と他の店員のケーキを並べ、お前のケーキは、夜、皆でデザートとして試食する」 つまりは語学学校に行ってる俺とイライザは食えねー訳か。 ま、どうだったかは、翌日にこうして聞けんだろ。 「クイ。頑張ります」
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加