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アナスタシアの成功
あー、流石に昨日は疲れたな。
そう思いながら、翌日、イライザと朝の掃除をしてると、マールさんから思わぬ声が掛けられた。
「センヤ、ちょっと来なさい」
日本語で話し掛けられる。
イライザが。
『鬼店主、私のセンヤに何の用よ』
と、何やら小声で言いながら掃き掃除をしてるのを、マールさんはチラリと一瞥して、俺を連れて厨房に入った。
「ディランから聞いたが、昨日、ケーキを作ったらしいな。ひと口、味見させてもらった」
マールさん、味見してくれたのか。
俺はマールさんから、どんなダメ出しを喰らうのか?
それとも親父のように放置か?
思わず内心、身構えた。
と、いっても何を言われても殴る訳じゃねーが。
「お前のケーキは、まだまだだが、伸び代がある。そこで、今日から私が見せるレシピを元に、ケーキを作ってみろ」
マールさんの思わぬ言葉に驚いたが、早速ケーキを作らせてもらえる事は嬉しかった。
「ただし!売り場には、まだ出せん。店頭には引き続き私と他の店員のケーキを並べ、お前のケーキは、夜、皆でデザートとして試食する」
つまりは語学学校に行ってる俺とイライザは食えねー訳か。
ま、どうだったかは、翌日にこうして聞けんだろ。
「クイ。頑張ります」
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