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アイツ等…。
俺は3人の笑顔を思い浮かべ、胸が熱くなるのを感じた。
必ず、一人前のパティシエになって日本に戻る。
その決意を新たにした時、部屋のドアが遠慮がちにノックされた。
俺は手紙をしまって、机の上に置く。
「クイ(はい)」
返事をすると、ドアがノック同様、遠慮がちに開いて、俺をここまで案内してくれた、同じ見習い先輩のガッベルガー・ディランがドアを開けた。
「センヤくん、今、時間ある?…って荷解きの最中か。邪魔して、ごめん」
ディランがカタコトの日本語で、そう言ってドアを閉めようとしたので、俺は口を挟んだ。
「大丈夫だ。荷解きなら、出すだけだから直ぐに終わる。何か用か?」
ディランにも聞き取り易いように、ゆっくり滑舌良く話すと、奴は、ちと安心したように日本語で続けた。
「店主から頼まれて、街案内をするように言われたんだ。キミと、もう1人の子と3人で。良いかな?」
「メルシー(ありがとう)。丁度、外の空気を吸いたいと思っていたところだ」
「良かった…。じゃあ、早速行こう」
ディランがドアから離れたので、俺も部屋を出て鍵を閉める。
合鍵は店主のマールさんも持っているが、基本、自分管理らしい。
見ると、廊下には、金髪碧眼の女が居た。
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