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避けなきゃ俺は背後から刺されていた。
初めてディランと3人で道案内された時、奴が、「この辺は治安が悪りーから、気を付けろ」と忠告してたのを思い出す。
逆に、よく今まで危ねぇ目に遭わなかった訳だ。
野郎は暗がりで顔がよく見えなかったが、俺が起き上がると同時に言った言葉で、語学学校の生徒だと分かる。
「お前たち、いつも見せつけてくれるじゃねーか。そこの東洋人、女を置いてったら、見逃してやる」
ここにも勘違いしてる奴がいるか。
俺は油断無く、街灯の下に野郎を誘導するようにゆっくりイライザから距離を取る。
彼女を巻き添えにしねーで、相手の動きをよく見えるようにする為だ。
「丸腰相手に刃物で対抗か」
「何とでも言え。オレは前から、この女に目を付けていたんだ」
「センヤ!!」
イライザが怯えたように悲鳴を上げる。
俺は彼女を安心させるように言った。
「大丈夫だ。ダチを置いて逃げたりしねーよ」
見ると、相手の野郎は刃物を持っているとはいえ一人。
後は、どうこの場を切り抜けるかだが…。
「女の前だからって、カッコ付けてんじゃねえ!」
野郎は再び俺目掛けて、刃物を今度は振り下ろした。
俺は咄嗟に後ろに飛び退いた。
キーン!
飛び退いた拍子に野郎の刃物が、俺が首から下げたロケットペンダントの鎖に当たる。
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