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「触らないで!!」
イライザは、そう叫ぶとロケットペンダントを握り締めたまま、自力で立ち上がり、アナスタシアの方へ走り去った。
「センヤの裏切り者おー!!」
夜の街にイライザの叫び声が小さく聞こえてきた。
俺は、少しの間、訳が分からず、呆然と突っ立ってたが、人の話し声が聞こえてきて、ここに居ちゃー厄介だと思って歩き出す。
ふとディランの「向こうは、告白するって文化が無いから、付き合っているって勘違いされないようにね」という言葉が蘇った。
まさかとは思っていたが、あの様子だと俺は本当にイライザに付き合ってると勘違いされてたのか?
てっきり彼女はディランに気があると思っていたんだがな。
「やれやれ」
鎖が切れたロケットペンダントは、直せば又、掛けられるだろうから、返してもらいてーが、あの様子だと難しいな…。
それに、イライザが言い掛けた、俺の作ったケーキが店頭に並んでいるっつーのも気になる。
マールさんからは、何も聞いちゃいねーが、イライザが嘘をついてるようには見えなかった。
「ディランなら、何か知っているかな…」
俺は、ロケットペンダントを返してもらう前に、ケーキの行方をハッキリさせようと思った。
イライザが、香澄の写真をどうにかしねー事を祈りながら。
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