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歳は俺と同じくらいか?
可愛いと言っても良い顔立ちだが、愛らしさで言ったら、香澄の方が上だな。
「アイ アム イライザ(私はイライザです)」
彼女は、俺でも聞き取れるように英語で、そう簡単な自己紹介をすると、俺に手を差し出してきた。
海外でいうところの挨拶か?
俺は何の気も無かったが、彼女…イライザの手を握り返して、カタコトの英語で名乗り返した。
やっぱ手は小せーな…。
見ると、身長は女にしては高めで、顔が見えるがイライザは何故か、その顔を紅らめている。
俺が手を離すと、ディランが言った。
「2人は、お互いフランス語の語学学校へ通いながら、このお店で修行してもらう事になる。それで初日の今日は先ず土地勘をつけてもらうよ」
確かに、この辺りの地理には詳しくなっていた方が良いだろ。
俺は店主の図らいに感謝した。
3人で部屋の並ぶ2階を降り、裏口から外に出る。
ディランの案内で、俺とイライザはフランスの街へ繰り出した。
俺がフランスへ来たのは初めてじゃねー。
まだ高校生の時に、当時、フランスで開催された高校生料理コンテスト。
それに出場する山村を応援しに、鈴木と田中(たなか)という千夜組若頭(当時は只の組員)と渡仏した事がある。
俺は、極道の組織の1人息子だった。
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