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俺は別に和菓子が特別、好きな訳じゃなかったがこれから日本と離れて生活するとなると、ディランの言ってる事も、あながち的外れじゃなかった。
「そうだな…案内してくれ。イライザは、買い物、終わったのか?」
丁度、パン屋から出て来たイライザに掛ける言葉をディランが通訳する。
ディランは、色んな国の母国語を話せるんだな。
俺は内心、感心した。
『クロワッサンを買ったの。3つ買ったから、2人に1つずつあげるわ』
紙袋からクロワッサンを取り出してディランに差し出すイライザ。
俺が訳が解らず固まっていると、ディランがイライザから、礼を言ってクロワッサンを受け取った。
「沢山、買ったから僕達にも、くれるらしいよ」
「そうか。メルシー、イライザ」
イライザが俺に差し出してくれたクロワッサンを受け取ろうとした時、不意に彼女の手に触れた。
イライザは驚いたのか、クロワッサンを地面に落としちまう。
ビニール袋に入っているとはいえ、あー、勿体ねぇ。
イライザは顔を真っ赤にしている。
『エクスキューズモア!(ごめんなさい!)私の半分こするから許して!』
何故か、もう一つのクロワッサンを2つにちぎるイライザに、ディランが笑いながら言う。
「半分こ、しましょうって。センヤくん、惚れられたね」
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