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1日:人生
妻を早くに亡くし、必死に働き、必死に子供たちを育てた。
72歳。
必死にもがき苦しみながら生きてきたツケが回ってきたのか。
体もボロボロであちこち痛めていた。
まだ動けるうちにと仕事を60で辞め、息子夫婦の世話になった。
孫育て。
共働きの息子夫婦に変わって孫を育てることに残りの人生を捧げた。
仕事を辞めたおかげか気持ち的にも楽になり、可愛い孫と過ごした日々は宝物だった。
が、ある日心臓発作を起こした。
つい先程まで元気だったのにな。
人間とはあっけなく簡単に死ぬのだな。
もちろん痛くて苦しくて呻きながら倒れることしかできなかったさ。
息子夫婦、孫たちの声が聞こえる。
最期まで。
意識が途切れるその時まで聞こえていた。
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