旧姓 日吉 恵

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「好きだったよ、俺…お前の事。中学の時、ずっと好きだった」  沼田の真っ直ぐな目に、声に、心が震えた。  泣いているのはきっと、あの頃の私。 「私も好きだったよ。沼田の事、中学の時…ずっとずっと、好きだったよ」  良かったね、私。  好きな人に好きでいて貰えてたんだね。 「日吉」 「ありがとう沼田。元気でね」 「……幸せでいろよ。ずっと」  沼田を残してエントランスを出る。  タクシー乗り場まで真っ直ぐ、振り返らない。  大粒の涙が頬を伝って零れ落ちていく。  行き先を告げたタクシーが小さくBGMを流しながら、()いた道を空港に向かって進む。
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