この雪のような奇跡を

仁美、サンタクロースに会う

　浴衣に羽織を着て財布とiPhoneを持って出る。自販機で五百ミリリットルのビールを二本買い、聞いていた部屋番号の部屋の前に立った。同じく一階のロビーを挟んで東側の方だった。私らは西側である。
　コンコンとノックをすると、中から「はーい」と声がしガチャっと戸が開く。一瞬部屋を間違えたかと思った。そこにいたのはサンタクロースだっだからだ。

　入ってみると、和洋室で六畳の和室とベッドルームがあった。和室のテーブルの上にはノートパソコンと照明器具があった。

「YouTuberなの？」
「はい。きらりちゃんねるってのをやってます！」　

　さっきまでサンタのコスプレで一人でご馳走を食べるLIVE配信をしていたらしい。登録者数は三万人で有名ではないが、素人ではないようだ。彼女はノートパソコンでそのチャンネルを観せてくれた。