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電気を点けて、座布団を二つ僅かな隙間を空けて並べて、向かい合って座った。私は話を聴く側だから正座をしたが、彼まで同じように座っている。一体どんな深刻な話なのだろうか?見当がつかない。
「……この二ヶ月、本当のことを何度も言おうと思って言えなかった。仁美ちゃんと会ってる時もそれが頭の中でぐるぐるして、考えこんでしまっていた。挙動不審に思われたかもしれない」
「……う、うん」
コミニケーションが上手くとれなくて気分屋に見えたのはそれが原因だったのか……。
言いたいことって一体なんだろう?空調設備が古いのかブーンと大きな音がして気になる。健史に断りを入れ座布団から立ち上がり、空調のスイッチをOFFの方へ回す。ガコッという音を最後に静まり返った和室は、元職場の会議のような緊迫ムードに変わった。再び座布団に座り直すと、健史が口を開いた。
「仁美ちゃん、今のiPhoneは二年前に買い換えたって言ってたでしょ?買い換える前にドラッグストアで男とぶつかって画面が割れなかった?」
…………!?
この話は健史に言ってない。
「な、何で知ってるの?」
「……ぶつかったの俺だから」
…………!?
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