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私は彼を強く抱きしめて、深く息を吸って彼の匂いで肺を満たしてから言った。
「健史くん……あのね、私は健史くんの過去を勝手に想像して嫉妬してしまうくらい、今は好きだから。今更さようならとか言ったって認めないから。私がスーパーに張り込みするから。私がドラッグストアでぶつかるから……私が……私が……」
溢れた思いが言葉にならなくなってしまったと同時に、落ちた雫で頬が濡れていく。
抱きしめていた私の腕は、ゆっくりと振り解かれる。身体がふわりと宙に浮いた。初めて男性にしてもらったお姫様抱っこで、奥の部屋へ連れていかれた。
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