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美和を迎えに来た柴田に千枝がビールを1杯ごちそうし、3人で飲んだ後、解散した。
「じゃあまたねー、柴田くん」
「千枝さん、ごちそうさまでした」
「はーい」
「気を付けて帰ってね」
「はいはいー」
手をひらひらさせながら反対方面のホームに向かう千枝と別れて、二人は肩を並べて電車を待つ列に並んだ。
「千枝さんと美和さんって全然タイプが違って、どうやって友達になったのか、不思議な気がする」
柴田が美和を見下ろして言う。
「んー、なんでだろう。忘れちゃったけど」
美和自身も首をかしげた。
高校時代から今まで繋がってよく顔を合わせたりLINEでやりとりしたりするのは、千枝と敦子だけだ。敦子は今年単身アメリカに移住してしまったので、最近はSNSで互いの近況を把握するくらいだが。
同じクラスだったということ以外に、仲よくなった理由まではもはや思い出せない。
「美和さん、今度、おれも紹介したいヤツがいるんだけど、いいかな」
電車が来るのを待つ間に、柴田が美和の目を見下ろして聞いた。
「ん? 柴田くんの友達?」
「うん。高校と大学の野球部の仲間の一人」
「へえー、柴田くんの友達ってどんな人なんだろうー?」
美和は頭の中で、丸坊主の野球少年を想像したが、さすがに20代の社会人でそれはないな、と打ち消す。
「日程候補あったら教えてね」
「うん。博多から帰ったら会う約束してたんだ。聞いてみるね」
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