第四夜

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汗をかいた服を着替えて、顔を洗って、水を飲んでから、美和は再びベッドに横たわった。 柴田も美和の横に並んで、一緒に横になり、明かりを消した。 「疲れて帰ってきたのに、面倒みさせてごめんね。ありがとう」 「いいよ、それより早く元気になって」 美和はうなずいて、柴田の手を握った。 この手がすぐ近くにあって、握ることができて、よかった。 「さっき見た夢、いやな夢だった」 「それで泣いてたの?」 柴田は空いている手で美和の頬を包むように触れて、目を覗きこんだ。 「泣いてた?」 「うん、すごい涙流してうなされてた。だからどこか痛いのかと思った」 「やだ、恥ず……」 美和は手で顔を隠した。 とても恥ずかしい。 夢見て泣いてたなんて、しかも顔も洗わず汗でベタベタなままでとか、なんの罰ゲーム。 「どんな夢?」 柴田は美和の頭を抱えて、耳元で囁くように聞いた。 「……手を離したら、柴田くんがいなくなっちゃう夢」 それが美和さんのいやな夢? 柴田は驚くと同時にうれしく感じて、思わず微笑みをこぼした。 「いなくならないよ」 柴田は握った美和の手の甲に唇を押し当てて、指をからめて握り直した。 「一緒にいるから、安心して寝ていいよ」 「うん」 美和は微笑んで、目を閉じる。 瞼と頬と唇に、柴田が優しく触れる感触を感じながら、再び眠りについた。
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