第五夜

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上映された作品は、大学で出会って恋に落ちた二人が卒業前に別れ、社会人になってから思いがけない再会をして、再び恋をはじめるまでのラブストーリーだった。主人公の親友が同じオフィス内で恋をするストーリーもからみながら話が進んでいき、最終的にはハッピーエンドを迎えるのだった。 美和は、主人公よりも、主人公の親友の社内恋愛の方に感情移入してしまった。 映画では既婚者との恋だったので人に隠れて会うのは仕方なかったのだが、なんだかそれが自分たちと重なって見えてしまった。 いまだに残業後の遅い時間や人が来ない場所を選んでしまい、里紗のように人目に触れる時間に堂々と二人で歩いたりできない。 柴田は人に見られても構わないと言うけれど、美和は柴田より長く社会人生活を経験して、何組かの社内恋愛の結果を見てきた分、どうしても仕事への影響を考えてしまう。 映画でも、一緒に仕事がしにくくなったり、相手が異動することになる場面があり、居心地の悪さを感じてしまった。 最終的に男友達のような関係の同僚と結ばれて順調にキャリアを築いていく、というエンディングだったが、美和はどうしても恋の後始末の方にフォーカスしてしまい、複雑な気持ちになった。
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