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 第四クォーターが始まり、私たちは13点差で勝っていた。相手選手の一人がケガで交代し、その直後、ミフユのラフプレーで試合が一時中断された。  ミフユのこんな姿を初めて見た。バドミントンのときは飄々としていたのに、今は死に物狂いで足を動かしている。その真剣な姿が、何よりも私の心を揺さぶった。昔とはまるで別人のように見え、私もこの試合に本気で臨まなければならないと感じた。 「大丈夫?」と、チアキさんが優しく声をかけてくれた。チアキさんの眼差しに一瞬動揺するが、すぐに気持ちを切り替える。試合が再開し、コハルさんにボールが渡った。私はコハルさんを止めようと懸命に動いたが、あっという間にスリーラインへとステップバックされ、見事なシュートを決められてしまう。 「……懐かしい」とチアキさんがぼそっとつぶやく。その後、チアキさんとコ ハルさんの一進一退の攻防が続く。二人の間に流れる強烈なエネルギーが、まるで場を支配しているかのようだった。私たちはただそれを見守ることしかできず、二人の戦いに圧倒されていた。  試合が進むにつれて、私の中である考えが芽生え始める。もし私とミフユも、こんな風に真剣に向き合うことができたなら、過去のわだかまりを超えて和解できるのではないか。そんな期待が胸をよぎる。  そして、ついにチアキさんがコハルさんのシュートをブロックし、試合終了のブザーが鳴った。二人は清々しい笑顔で握手を交わし、その姿を見て、私は「いいなぁ」と心の底から思った。もし私もミフユと和解できたなら、あの二人のように新たなスタートを切れるかもしれない。  その時、ふとミフユと目が合った。しかし、私はすぐに目を逸らしてしまい、胸の中に後悔が広がった。そしてその瞬間、私は自分がミフユと仲直りしたいと本気で願っていることに気づいた。 「私も、ミフユと……」
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