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16.
いつもその日の調子は試合直前になるまでわからない。シューズがコートに触れる度に響くスキール音で、大体のコンディションが分かる。チアキさんに話したところ、「意味わかんない」と笑われたが、私にとっては直感的な指標だった。
今日の調子は絶好調だ。肩の動きは滑らかで、ライトの眩しさも気にならない。身体が一つとなり、跳ぶたびに自分の強さを感じる。礼をしてジャンプボールに移った。
ミフユが飛んだ瞬間、私は動き出す。かつての自分とは違う。ミフユの動きを読み、先を見越してボールを奪う。そして、速攻を決めた。
「まず、一勝」
ミフユの前に立ち、挑発的に言い放つ。心の中には、コハルさんとチアキさんの言葉が響いていた。
『ごめん、今度は正々堂々と、やろう』
『いいね、負けないから』
私たちはまだそのレベルには達していない。私がいつも下で、ミフユが上だった。しかし、今日は違う。この試合を通じて、私は過去の自分を超える。そして、勝ったら全てを終わらせる。謝って、もう一度ゼロからやり直す。
「バスケなら、負けるつもりないから」
言葉を発する度に心臓が高鳴り、緊張が増していく。今日が最初で最後だ。この強気な姿勢でなければ、勝利はつかめないのだ。
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