ホテル

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 水の流れるような音で目が覚めた私はここが何処なのか分からなかった。広いベッドに寝かされている。服を着たままで。すると扉が開いてバスローブ姿の津島課長。 「目が覚めたかな?」 「あの……。私……」 「かなり飲んでたよ。送って行こうにも君のマンションも分からないし。店長に電話して聴こうかとも思ったんだけど変に勘繰られても君が困るだろうと思って」 「すみませんでした。私、帰ります」 「あぁいいよ。君は今夜はここに泊まりなさい。先に支払いも済ませてあるから、ここから店に行けばいい」 「でも……」 「地下鉄? バス? もう両方ともないと思うよ。僕はタクシーで帰るから」 「……あのう、本当にいいんですか?」 「勿論だよ」 「お願いがあるんですけど」 「何?」 「私がシャワーを浴びるまで、ここに居てもらえますか?」 「どうしたんだ。一人じゃ怖いのか?」 「はい……」 「分かったよ。さっぱりしておいで」  バスルームの狭さから考えても、ここが普通の所謂シティホテルだということが分かる。  課長は酔った私をいかがわしいホテルに連れて来た訳じゃない。それが逆に私の気持ちを心地好く刺激していた。シャワーを浴びて髪も乾かしてバスローブだけを纏って扉を開けた。
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