凍ったグラタン

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梅雨の蒸し暑さで 奇妙な溶け方をした 冷凍グラタンの異臭、 それを見つめて絶句する父。 「おじさんも、孔とか孟とか  研究してるなら解るでしょ!?  この弁当 君子 のすること!?  立っー派な小人ですよ!  もう立派過ぎて拝むわッ!」 友人の剣幕で つい涙が溢れて 大声で泣いてしまった私。 そして直ぐ様 私を抱き締めてくれた父。 父の震えが…全身に伝わる震えが たまらなくて…せつなくて… 涙が止まらなかった。 そして…… 「……許……ゆる……」 頭の上で小さな声、 「許せ…許して…くれ…ぇ  ……貴子(たかこ)ぉ…ぉぉ」 父が呼んだのは       母の名だった。 121d30a7-9c88-435d-b2f1-a413a93ad930  
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