一緒に住みたい?

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一緒に住みたい?

 そんな疾風に翼は微笑む。 翼だって疾風のことが好きだ。 だからそういう考えをもって一人暮らしにしたのだから。 「あ! あー!」  突然、大きな声を上げる疾風。 「……え? 突然何だよー!?」 「お兄ちゃんの言葉でいいこと思いついちゃった! あのさぁ、それなら、一緒に暮らせばいいんじゃない?」 「……へ?」 「一緒に暮らしたら、誰の目も気にせずに一週間我慢しなくても出来る訳だしさ……」 「あ……そ、それは……流石に……」 「……って、どういう意味!?」 「流石に俺だって、毎日のようにされたら、体が保たないっていうのか……なんていうのか……」 「あ! そういうこと! ならさ、週三回位だったらいい!?」  疾風はまだまだ子供みたいな考え方に翼は溜め息を吐く。  確かに二人は兄弟なのだから、親は一緒に住むことには反対はしないだろう。 だが毎日のように翼は疾風に抱かれることになったら、本当に体が保たないのは目に見えている。 例え、それが週三回だとしても仕事をしている翼にとっては結構辛いことなのかもしれない。  仕事というのは体力も精神力も必要であって平日の夜はしっかり寝ておきたいところだ。 「んー……週二回!」 「それじゃあ、今と変わらないじゃん!」  そう言われて頬を膨らませる疾風。 「んじゃあ、一緒に住むのはいいんだけど……疾風も何かバイトしてくれないかな?」 「バイト……!?」 「自分の小遣い位は自分で稼ぐことにしてくれれば週三回の条件で一緒に暮らしてもいい! ってのはどうだろ? 流石に俺がお前を養う程は稼いでないからな……」 「んー……」  その提案に疾風は悩んでいるようだ。 「それにいつまでも親からお小遣い貰ってる歳じゃないだろ? 社会勉強も兼ねてバイトするのもいいじゃねぇ?」 「あー、そういうことね……。 でも、来年からは大学受験があるから、ま、そこまでバイトしようかな? あー! 受験で思い出した! お兄ちゃんが僕の家庭教師をやってくれたらお母さん達も喜ぶと思うよ!」 「……って、言ったって、俺の頭は普通位だぞ……。 で、お前は何になりたいんだ?」 「えー! 別に普通に何処かの会社に勤められればいいんじゃない?」 「まったく、何も夢とかないのか?」 「そこはお兄ちゃん、人のこと言えないでしょー」  どうしてこう口ばかりは達者なのであろうか。 再び溜め息を漏らす翼。
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