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お兄ちゃん!帰るの遅いっ!
『分かってるんだけどな……。 ま、とりあえず、待っててくれよ……』
そうメールが返って来たのだけど、やっぱり憂鬱だ。
せっかくスーパーに行って翼の為に料理を作ろうとしていたのに当の本人は暫く帰って来ない。 そこに疾風は溜め息が漏れる。
「んー……」
と言いながら疾風はテーブルにうっ潰すとテレビを付ける。
テレビを付けても今の時間帯はほぼニュースしかやっていない。 でも翼が帰宅して来ないのでは料理を作ったって冷めてしまうのが落ちだ。 なら帰宅の連絡が入ってきてから料理しても大丈夫だということだろう。
ニュースを見ていてもつまらない。 今の世の中どうなっているのであろうと思う位ニュースというのは多い。 ある意味、颯斗も電車で犯罪に巻き込まれている一人なのだから。
「はぁー……」
部屋内はテレビの音だけが響き渡っていて、他には全くもって何も聞こえて来ない部屋だ。 普段は実家に住んでいる疾風。 だけど今日は翼で住んでいる家に来ているのだから誰もいない家で本当に誰の声も聞こえて来ないのだから。 そうつまらなそうな疾風の溜め息が聞こえてくるだけの部屋になってしまっている。 いやもし翼が帰宅しているならば、全くもってそんな事はないのだけど、本当に一人でいるとなると暇なのだから余計にため息が出てしまうという事だろう。
時間も十九時を過ぎた頃だろうか。 再び疾風の携帯が鳴り響く。
数回のコール音だった所からするとメールだろう。
それに気付いて起き上がる疾風。
きっと翼からだ。
やっぱりメールの相手は翼からのようだ。
『ゴメン! やっと、仕事が終わったよ……。 今から、帰る』
それを見た疾風は一先ず翼にメールを返すと、料理は始めるのだ。
今日はカレーにする予定だ。
カレーは一番簡単で時間もあまり掛からないのだから。
翼からのメールの後、疾風はご機嫌になったのか料理をしながら鼻歌を歌い始める。
そしてカレーのルーを入れた直後、部屋のベルが鳴って翼が帰宅してきたようだ。
その音に走って玄関に向かう疾風。
「おかえりー」
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