11人が本棚に入れています
本棚に追加
好男は頭を抱えた。せっかく楽しい思い出ができると思っていたのに、変なやまびこのせいでもうめちゃくちゃだ。
麗子は相変わらず鬼の形相で胸ぐらを締め上げてくる。好男は麗子の腕を振りほどき、すごい勢いで額を地面に擦り付けた。
「麗子! 嫌な気持ちにさせてしまってごめん! でも、俺本当に麗子のことを女性として愛しているし、浮気もしていないんだ! 頼む、信じてくれ……」
「……本当に? 信じていいの?」
【ダメです。信じてはいけません】
「だーから! お前は黙ってろやまびこぉ!」
「うーん……本当に本当?」
決死の土下座が功を奏したのか、麗子の態度に少しだけ軟化の兆しが見えた。
「ほ、本当だ。神に誓う」
「もしこれ以上何か隠してたら、別れるから」
「隠し事なんて一つもない! これまでも、これからも」
「……やまびこさんに聞いてもいい?」
「え゛!? いや、それは……」
「聞いてもいい!?」
「は、はいぃ!」
麗子の圧に押されて止むを得ず了承する。こうなったらもう、やまびこを信じるしかない。
「やまびこさん。好男くんは私にまだ何か隠し事をしていますか?」
緊張で好男の喉がごくりと鳴る。勿体つけるような少しの間ののち、やまびこは答えた。
【好男さんは麗子さんに隠していることがあります。それは、彼が実は宇宙人であるということです】
最初のコメントを投稿しよう!