正反対な二人

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「はい、では今日のロングホームルームは文化祭の実行委員を決めようと思います!」  クラス委員の大川さんが前に立ち、黒板に書き出した。 「委員長一名、副委員長一名。 まずは立候補を募ります。 誰かやりたい人いますか?」 「はい!俺、委員長やりたいです!」  手を上げたのは予想通り野々村君。  適任者だ。クラスの人気者だし、なんでもそつなくこなすカリスマだ。 「ほかには?」  誰も対抗馬の立候補はいない。 「自薦他薦は問いません。誰か他にいますか?」  シーンと静まり返る教室。いつものパターンだ。なかなか敵対する立候補は出ない。そりゃそうだよ、野々村のあとじゃ、手だって上げにくいに決まってる。 「では次に副委員長の立候補は?」  女の子がもじもじしながら手を上げるのをためらってる。みんな野々村君と一緒にやりたいに決まってる。  だけど遠慮して手をあげられずにいる。 「じゃあ、俺…推薦していいかな。」  野々村君がこっちをみた。  え?僕?まさか、まさかな。違うよな…。すると。嫌な予感は的中。 「風間君がいいと思います。俺、推薦しまーす。」  途端に手を挙げようとしてた女の子たちが下を向いた。  なんだよ、マジかよ。そうやってわざとなんにも出来ない僕をそばに置いて自分の引き立て役でもさせようって言うのか。って、またひねくれる。  どうせ。嫌って言えないのをいいことに下僕みたいにコキ使おうって魂胆だ。 「風間君?推薦されましたがどうですか?」 「えぇぇ?僕…ですか…。」 「ほら、立候補してくれた野々村君からの直々の推薦だから。どうせなら野々村君が一緒にやりたいって言う人とやれるのがいいと思うんだけど…?名指しだよ?直々にご指名な訳だし?」 「でも、僕は何も出来ないし…。僕なんかがなったところで、野々村くんのそばで手助けするくらいしか…。」  ボソボソと言い訳してグダグダしてたら。 「よし!じゃあ、決まりだ!俺のそばで手助けしてくれりゃそれで充分だから。」  野々村君が満面の笑みをこっちに向けてきた。 「そう言ってるけど、どうですか?風間君?」  わー。この雰囲気…。どうですかってさ。もう、断れないじゃん…。  やるって言うしか、もう無いじゃん。
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