正反対な二人

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正反対な二人

風間隼斗… 『ハヤト』 野々村勇紀… 『ユウキ』  昔はそうやって下の名前で呼び合ってた。小さい頃は最強コンビなんてそう呼ばれてた。  自分とあいつがこんなにも天と地ほども差があった事なんか全く気にならなかったあの幼い頃が懐かしい。  あの頃の僕たちは対等だったし、少なくとも会話は今よりちゃんと成り立ってた。  いつからだろう。  こんな風に、勇紀と普通に話すことも出来なくなったのは。保育園が一緒だったよしみでずっと幼馴染みだった。けれどいつも勇紀にはずっとコンプレックスを持っていた。  母さんが口癖のようにいつも言う。 「はー、野々村さんちの勇紀君はあんなにカッコよくて明るくてなんでもできて凄いのに、あんたときたら…」  って。すぐなんでも比較してくる。 だからずっと思ってた。  野々村君なんかいなければいいのに。  って。本当はそんなこと思ってもいない。僕がこうなったのは野々村君のせいじゃないし。だけどさ…。 「おはよ」  さらりと落ちる前髪を長い指先で掻き揚げながらご機嫌な笑顔で野々村君がそう僕に挨拶してきた。  あまりこっちをジロジロ見られないように下を向き、なるべく目をあわさないようにしてたのに。今日も馴れ馴れしくそう声をかけてきた。  勇紀のやつ、カッコいいからって。そんなにイケメンアピールするなよ。どうせそうやって見せびらかしたいんだろ?その、髪型が変わったって言う事をさ。 「おはよ…、髪型変わったんだな」  仕方なくそう返事を返すと嬉しそうにニコニコといい笑顔を見せてきた。  つられて思わずこっちまでフニャっと笑うと野々村くんが変な顔でこっちを見てきた。 「わ、笑った…。ハヤトが笑った!」  凄いイケメンな顔でそうやってじっとこっちを見てきて何をいうのかと思ったら。  笑ったって…なんだよ。  根暗な僕だって笑うことくらいある。笑わせたのお前だし。  気まずくて目をそらし急いで席についた。  
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