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あんなに嫌だと思ってたのに、なんだか終わってみたら、やってよかったなんて思ってる。
あんなにコンプレックスを持ってた野々村君があんなに僕を褒めてくれた。僕のやることを認めてくれてた。
ただの引き立て役だって思ってたのに、しっかり役目を果たせた気がして、凄い達成感だ。
「俺さ、実はいつも不安だったんだよね。だけどハヤトがそばにいてくれたから。ウンウンて、頷いてくれたから、安心してなんでもやれた。俺の事をいつもそばで見守って、俺を認めてくれたから、安心してやれたんだよ。」
「へ…。」
そんな風に思われてたなんて少しも思わなかった。
「ハヤトさ、ハヤトももっと自分に自信持てよ。お前は全然裏方なんかじゃなかったよ?」
「え?」
「それにさ。お前、俯いてないで前向けよ。せっかくのイケメンがもったいないだろ?」
「ええ?」
顔が真っ赤になる。
僕がイケメン?もったいない?
嘘だろ?
「ほら、アンケートにもそうかいてあったぞ?見ろよ、ほら。」
見るとアンケートには色々書いてあった。僕がイケメンに映ってたなんて、驚きだ。しかも、野々村君が僕の事、そんな風に思ってたなんて。
「俺はね、一緒にやるなら絶対お前がいいと思ってたんだよ。最初から。
だからさ。もう一回、一緒にやらね?俺、ハヤトがいると安心してやれるんだ。俺の事、ちゃんと分かってくれてるから。」
「へ?」
「今度の冬のバザーの役員、俺、立候補するんだけどさ、隼人、一緒にまた俺たちでやらね?あと一回だけ、お願い聞いてよ?な?」
またそうやって僕にお願いしてくる。そんな野々村君のあのイケメン顔で頼まれたら断れないって知っててああやって頼んでくるんだ。
はぁ。きっと僕はまた、イヤと言えずに引き受けるに違いない。
あの、あと一回だけ、お願い聞いてよっ!て言われたら。
だけど今度は、ちょっと今までとは違うような気がする。少しだけ自信がついた。隼人って呼ばれるのも、悪くないなんて、最近はそう思ってる。
人気者の野々村君の影でひっそりと裏方に徹するんじゃなく、二人で力を合わせてみたいなんて思い始めてる。
もう、あいつなんかいなければいいのになんて、二度と呟くことはないだろう。
前をちゃんと向こうかなって、勇紀が僕にそう、思わせてくれたから。
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